なんと20年前「テレビ会議」が教育現場で行われていた!その驚くべき方法は・・・

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20年ほど前のことですが、全国5校の高等学校を結んだテレビ会議が実施されました。1996年11月から翌年3月までの間に6回実施されました。参加メンバー校は、北海道旭川市、神奈川県川崎市、愛知県名古屋市、兵庫県神戸市、沖縄県沖縄市にある5校でした。筆者はこのとき、旭川市の参加校の担当教師として参加しました。


-20年前に高校でテレビ会議?

20年前に全国に散らばる5つの高校でテレビ会議を実施したなんて信じられますか。テレクラス・インターナショナル・ジャパン(現グローバルプロジェクト推進機構)と財団法人マルチメディア振興センターの主催で実施されました。ISDN回線を利用したテレビ会議でした。現在では、スカイプなどを利用して会議をしたり、身内の人や友人と話すなどということは特に珍しいわけではありませんが、当時としては画期的なことでした。

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-旭川市の学校が参加校となった訳

実は旭川市の参加校は高校ではなく専修学校でした。有朋高校と連携することにより、生徒は専修学校と高校の2つの学校に在籍していました。ISDN回線でインターネットを利用していることとメーリングリストに参加できる学校ということで参加校となりました。

-テレビ会議はどのように進められたか

5か月の間に6回の会議が開かれました。1回目の会議はお互いを知るという意味で各学校の紹介をしました。残りの5回は各学校がホスト校となり会議を進行ました。各学校は自校がホスト校となるときのトピックスを決めて、会議を円滑に運営できるように準備をしました。

-各学校のトピックスは(ホストを務めた順)

「いじめと不登校」(神戸市の学校) 「ポケベル・携帯電話・PHS」(旭川市の学校) 「ボランティア」(沖縄市の学校) 「制服・アルバイト」(川崎市の学校) 「海上の森」(愛知万博)(名古屋市の学校) が各学校の決めたトピックスでした。

初回の会議は、自己紹介をした後、これからの流れなどについて確認しました。初回の会議でお互いのことがわかり、2回目以降の会議は和やかな雰囲気で進行しました。

4回目のホスト校は沖縄市の学校でした。2月12日16時開始でした。こちらの外はもう暗いのに沖縄はまだ明るいことに生徒は驚きました。校舎の外の明るさと今まさに咲いている桜の花を見せてくれました。旭川で桜の花を見るのは5月だというのに、沖縄ではもう咲いているではありませんか。南北に長い日本を実感しました。

-もっと驚かされることがありました

「雪の上に立つことが夢です。」とホスト校(沖縄市)の生徒が言いました。旭川の生徒一同、超ビックリです。雪の上を歩くことではなく、雪の上に立つことが夢だなんて。この発言を聞いて、旭川の生徒は言いました。「先生、他の4校全部に雪だるまを作って送りたい。」雪がどういうものか伝えたいという生徒の思いでした。

-雪だるまは宅配便で送ることができるのか

出来上がった雪ダルマを発泡スチロールの箱に入れて、宅配業者の方に取りに来てもらいました。業者の方の言葉に衝撃が走りました。「雪だるまのまま到着するかどうかはわかりませんよ。もしかしたら水になっているかもしれません。それでもいいですか。」
生徒と相談の上、雪だるまのまま到着することを信じて送りました。

雪だるまは4校すべてに届きました。沖縄の学校では雪だるまを見た生徒たちが、雪だるまを引っかいたり食べたりしたそうです。雪だるまは15分ほどでなくなったそうです。食べてしまったのかとけてしまったのかは不明です。

-次の会議の冒頭で・・・

次のホスト校は川崎市の学校でした。会議当日、テレビの画面に最初に映し出されたのは、雪だるまでした。届けられた雪だるまを冷凍庫で保存しておいてくれたのです。旭川の生徒たちは、送った雪だるまを大切に思ってくれたことを本当に喜びました。5校の生徒はすぐ隣にいるわけではありませんが、ひとしきり雪だるまを話題にして盛り上がりました。

-会議を終えて

インターネットやメールのやり取りに精通している4校に対して、旭川の学校は完全に初心者でした。生徒たちにとって、5か月間はハードな日々だったでしょう。しかし、遠く離れている地域の人の顔が目の前の画面に映し出される驚きを味わい、遠く離れた地域との違いを目で見て実感し、たくさんの友情も得ることができました。

生徒たちは、ここでは書ききれないほどの貴重な経験をしました。そのすべてが忘れられない思い出になっていることでしょう。そして現在の生活のどこかに役立てていることと思います。

画像掲載元:いらすとや AllAbout デジタル

(秒刊サンデー:わらびもち

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