なぜ続く黒髪強要やブラック校則、学校は異次元の世界?

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NPO有志で発足した「”ブラック校則”をなくそう!プロジェクト」は3月8日、10-50代の男女計2000人を対象に、中学時代と高校時代の理不尽な校則や指導経験を調べたアンケート結果を公表しました。生まれつきの頭髪が黒以外だったために黒染めするよう要求された人の割合は、年代が若い方が高くなっている状況が明らかになりました。



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-アンケートの結果は・・・?

アンケートは2000人の人に対して実施されました。2000人の内1000人には中学校時代の経験、残りの1000人には高校時代の経験について答えてもらったということです。

中学時代の経験を答えた1000人のうち121人が生まれつき黒髪以外で、この中の11人が黒染めを強要され、21人が「地毛証明書」を書かされたと答えました。高校時代の経験を答えた1000人の中では生まれつき黒髪以外は119人で、うち21人が黒染めを求められたということです。

中学校でも高校でも、およそ1割の生徒が生まれつき黒髪以外であったという結果が出ています。

-高等学校在職経験者の立場として・・・

校則に従わなかった場合に、高校には謹慎や停学という処分があります。もちろん学校によって異なりますが、筆者が勤務した高校では、肩を過ぎる長い髪は結ぶ、パーマは禁止、頭髪の染色は禁止という校則がありました。パーマをかけたり染色をした場合には停学となりました。

在職中、心を痛めていたのは、生まれつき黒髪ではない生徒が、髪を染めたわけでもないのに黒染めをしなければならないという事実でした。黒染めをさせることは校則で決まっていたわけではありませんが、それが当たり前であるかのように、そのような指導がなされていました。経験の浅い教師は口を出すことのできない領域でした。

いくら教師でも、生まれつきの頭髪の色を否定して、黒く染めるように指示することは間違いです。生まれつきの頭髪の色を黒に変えさせるという指導は、その生徒の人としての存在を否定することになります。教育現場においてそのようなことは許されることではありません。長年なされてきた指導を変えることは非常に困難なことでした。

-平成9年に指導方法が変わったけれども・・・

平成9年4月から、勤務していた学校は女子校から男女共学へと変わり、頭髪の色の指導についても変えることになりました。入学時に、生まれつきの頭髪の色を登録し、登録された生徒は生まれつきの色から黒く染めるように指導されることはなくなりました。これで問題の1つは解決されました。しかし、解決されないこともありました。

屋外での部活動をしている生徒は、夏の日差しによる日焼けで頭髪の色が変わります。女子は高温でドライヤーをかけることにより頭髪の色が変わります。水泳を習っている生徒は、プールの水に含まれている塩素で頭髪の色が変わります。生徒は意識的に染色したわけではありません。それなのに指導の対象となっていました。

長期休業の後や定期考査の後に実施される頭髪検査で頭髪の色に変化があった生徒は指導の対象となりました。意識的に頭髪の色を変えた生徒が指導を受けるのは仕方がありませんが、そうでないならば元に戻るまで様子を見るということもできるのではないかと思いました。

-なぜ黒くしなければならないのか

昔は、生まれつきの頭髪が黒くない人は今より少なかったような気がします。しかし、食生活の変化などで、現在では生まれつきの頭髪が黒くない人が大勢います。このような時代では、頭髪を黒く染めさせる時代は昔話と思っていました。しかし、実際には頭髪を黒くするように指導された人の数は若い人ほど多くなっているというアンケート調査の結果に驚かされました。

生まれつきの頭髪が黒くない生徒に対する指導の在り方について、校内には色々な考えがあります。黒く染めさせることに対して異論を持っている教師も大勢いるはずです。しかし、それを声に出せない何かがあるのです。教師の中には、自分の指導に迷いを持たず、一般社会にはそぐわない指導を強制する教師もいます。そのような教師が大部分を占める場合、学校全体としては、生まれつき黒くない頭髪を黒く染めさせるという指導がまかり通ることになります。

-ブラック校則が存在してしまったのは・・・

学校の指導に対して保護者が意見を言うと、「あの保護者はクレーマーだ。」と、決めつけられてしまうことがあります。また、わが子が学校で嫌な思いをさせられないように、強い意見は避ける傾向もあります。学校側が自分たちとは異なる考え方を取り入れることなく従前の指導を続けてきた結果、黒髪に染めることに代表される「ブラック校則」というものを残してしまったのです。

児童や生徒の成長のためにある小学校・中学校・高等学校ですが、我々はその中で行われている教育や指導についてもっと目を向けていかなければならないのではないでしょうか。学校側も、世間の認識とずれを起こさないように常に外の世界に目を向けていなければならないと思います。

掲載元:「ブラック校則をなくそう!」プロジェクト

(秒刊サンデー:わらびもち

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