犬には不思議な力があると信じられている。
特に「癒し」の力だ。それ故にセラピードックという犬がいる。彼らは人々の心を癒し、救ってくれる。日本にも国際セラピードッグ協会があり、セラピードッグの育成やイベントの開催などを行い、様々な場面で犬たちが活躍している。そんなセラピードッグのストーリーに全米が泣いた!
「誰でも最初に連絡してきた人にあげます」そう書いてあった。
マディソンは仕事が終わるとすぐに犬に会いに行った。その時コーラは常に家の外にいて、すでに栄養失調の状態だった。医者にかかった事もなく、可愛い首輪や、ネームタグなどもつけてもらったことはなかった。庭に捨てられた飼い主の食べ残しが彼女の唯一の食事だった。
当時、マディソンはすでに犬を一匹飼っており、その家の大家は二匹目を飼うことを許していなかったため、コーラを飼うには新しい家に引っ越さなくてはならない。しかし、マディソンは今のコーラの状況を見て、とても放っておくことができず、最後には連れて帰ることに決めた。
帰りの車の中でコーラはマディソンの膝に寄り添って、家を去るというのに抵抗もせず、振り返りはしなかった。
コーラの耳は感染症にかかっていて、歯も虫歯だらけ。家に帰ってお風呂に入れると、その水がみるみる黒く濁った。ただ、コーラはとてもかわいらしい犬だった。
「コーラはただ、愛されたかっただけなんです。ただ、誰かに抱きしめられたかっただけ」マディソンは言った。
「コーラは常に私のそばを離れようとしません。私がいない時はすぐそばにいる誰かの膝の上にいて、とにかく人が好きなんです」もちろん、マディソンは引っ越しをした。庭のある家だ。二匹の犬は両方とも喜んだ。
コーラの存在はマディソンにとって特別だった。彼女がいるだけで、マディソンはイライラせず、静かで精神的に落ち着くことができた。その経験から、マディソンはコーラをセラピードックのプログラムに参加させ、認定を受けた。
マディソンは身をもってコーラの癒しの力を感じていたが、確信に変わったのはある日、空港でのある出来事がきっかけだった。
実家に帰る途中だったマディソン。シアトル空港で乗り継ぎを待っている時だった。突然コーラがゲート近くの男のそばへ駆け寄って行った。マディソンがコーラを呼び戻そうとする間もなく、コーラはその男の足元に駆け寄り、男が手を伸ばしてコーラに触れた。
マディソンが急いで男の元へ駆け寄り、「すみません、ご迷惑を」というと、男は目に涙をためて、悲しそうな顔で言った。
「いえ、いいんですよ、実は私、昨日愛犬を亡くしたんです」
コーラはそのまましばらく男のそばにいた。男はコーラの耳を撫で、優しく背中をさすり、コーラにいかに彼女が可愛いか、耳元で小さくささやいていた。その二人の様子はとても仲睦まじく、マディソンは胸にこみ上げるものを感じた。この沢山の人の中から、コーラは確実にこの男を選んで駆け寄ったのだ。
「コーラは本当に特別なんです。彼女は傷ついた人がわかるんです。彼が昨日愛犬を亡くしたと聞いた時、私はこんな特別なコーラと一緒にいれることに感謝しました」
「7年半も愛情をうけずに育ったコーラがどうしてこんなに人間に愛情を注ぐことができるんでしょう?もちろん私は彼女の過去を変えることはできません。だからこそ、これから彼女のためにできることはなんでもしてあげたいと思っています」マディソンはそう語った。
―海外の反応
・ コーラはいろいろと辛い思いをしてきたはずなのに、愛情にあふれてる。私もうちのコーギーを抱きしめたい。犬は天使。
・ うちのコーギーも同じようなことをするよ。知らない人でもお腹を触らせたりする。
・ 私も愛犬を亡くしたばっかりだから、辛い。うちにいるネコが癒してくれている。動物って本当に素晴らしい。
・ うちの亡くなったコーギーを思い出して悲しい。毎日会いたくて寂しい。
・ 犬は人間の一番の友達。だからこそ、大切にしなくてはいけない!
・ なんて可愛い犬なんだろう。
・ 犬はとても鋭い。妻が病気の時、それをわかっているみたいだった。
(秒刊サンデー:南ロココ)