三立製菓さんに訊く「かにぱん」にかける情熱と社長の深いビジョン

チョコバット・源氏パイなど数々のヒット菓子を手がけている、三立製菓株式会社(浜松市)が同社製品かにぱんの40周年キャンペーンの一環で「かにぱんオリジナル絵本」を制作したようだ。なぜ老舗のお菓子メーカーが突如「絵本」を手がけたのか、そこには知られざる社長の思いがぎっしりとつまっていた。

―40周年キャンペーンとして絵本を制作された理由とは

今回取材に応じてくれたのは、企画開発部企画課課長清水氏および企画開発部企画課の房前氏だ。大変失礼ながら、この男二人が絵本を手がけるというのはなんともミスマッチな気がいたしますが、早速今回絵本を制作した理由を聞いてみました。

三立サイド:元々、『お母さんと子供を“繋げられる”ようなコミュニケーションツール』を生み出したい、という会社での方針がありました。絵本は親が子供に読み聞かせることで親子を繋げる役割も担っているので、そういった意味では今回の企画にピッタリなツールだったから、というのが主だった理由です。

また、今回の絵本の中ではかにぱんの材料などにも触れています。親子で絵本を楽しんでもらいつつ、一方で商品としての『かにぱん』に対して親御さんからより安心感を持っていただきたいといった“ねらい”もあります。

―この本のポイントは?

筆者:今回の本を作ったこだわり、ぜひ見て欲しいポイントはなにかありますでしょうか?

三立サイド:単純に絵だけではなくそれぞれの形の中に文字も入っているので、形と共に文字も覚えられるところですね(知育教育)。

また、赤ちゃんに『見る、聞く、触る』などさまざま観点から絵本を楽しんでもらいたいという思いから、絵本の凹凸加工(キャラクター絵のみシールを貼ったようにツルツルした加工がなされている)を工夫しました。触って楽しめると思います。
絵本制作のプロではないので、幼児教育に携わっている保育園の先生にアドバイスを求めました。
また実際に園に行き、読み聞かせをして子供たちの反応を見て、最終段階までつめていきました。

 

取材中、その時の映像を見せてもらいましたが、子供たちが絵本を見てかにぱんに親しんでいる様子が映し出されていました。

―今回のキャンペーンだけではもったいないのでは?

筆者:今回はどれほどの方々にプレゼントされるのでしょうか?また一般販売の予定はありますでしょうか?

三立サイド:今回のオリジナル絵本は6~8月のキャンペーンで2000名に当たります。またWチャンスとしてかにぱんオリジナル図書カード500円分が1200名に当たります。
平成26年7月31日・8月31日・10月15日の3回の締め切りです。
絵本を実際に販売するかどうかについては、現時点ではまったく決まっておりません
小売業のバイヤーさんからは、この景品に関して大好評です。(景品でこんなに反響があったのは初めてです)

―ところで絵本の中でカレーに練乳をかけているお話がおりますが・・・

筆者:ちょっとネタバレですがカレーに練乳をかけるのは斬新な発想ですね。

三立サイド:カレーにはりんごと蜂蜜など甘いものを入れることがありますが、ここであえて意外性を持たせて「え~そんなの入れないよ」といったコニュニケーションを図れるのではないかと思います。

筆者:そもそもカニである理由はなぜですか?

三立サイド:形状ですかね。昔は他にも何種類か形があったのですが、その中でカニがもっとも人気でした。
たくさん関節があるので、ちぎって遊べるところがウケたのかもしれません。
『サンリツパン』という四角い形のパンがありますが、そのほかにもその時々に流行ったものを形にして製品化していました。
たとえば、プロ野球が流行っていたときには グローブの形。ボーリングブームだったときにはボーリングのピン、パンダブームのときはパンダなど……その中でカニが生き残りました。

―スマホアプリ等ではなく「絵本」という時代に逆行した勝負はなぜ?

筆者:スマホアプリが主流な中で、あえて時代に逆行してアナログで勝負するという点は本当に意外ですね。

三立サイド:事実、デスクトップの画面で文字でできた魚を泳がせて、クリックすると本当の文字が出てくる・・・といった仕掛けを3年くらい前に構想していましたが、さすがに赤ちゃんにアプリを見せながらというのは構図的にちょっと難しいと思いました。
「親と子をつなぐ」というコンセプトを大事にした社長の明確なビジョンにより、女性陣がそれを広げて今回のアイデアが生まれました。

「社長ビジョンの実践です!」

筆者:なるほど「親と子をつなぐ」というコンセプトから今回の「絵本」という原点回帰の発想が生まれたのですね。

ひとつの「パン」というテーマで「親と子をつなぐ」という最も根本的でかつ重要な思いが
詰まっている「かにぱん」。実は隠し味として使われているのは特殊な原材料でもなんでもない人の「愛情」なのかもしれない。

今後も社長の思いを乗せながら50周年、60周年と愛され続けるのであろう。

(取材:有限会社玉屋)

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